2025年12月25日

野球肘とは、投球動作の繰り返しによって肘に負担がかかり起こる障害の総称です。
特に成長期の選手は、骨や軟骨が未完成なため、痛みが出やすく注意が必要です
野球肘は、痛む場所や負担のかかり方によって
「内側型」「外側型」「後方型」の3つに分けられます。
内側型野球肘
肘の内側(小指側)に痛みが出るタイプです。
投球時の引っ張る力(牽引力)が繰り返し加わることで、
靱帯や骨端線(成長線)に負担がかかります。

主な特徴
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投げると肘の内側が痛い
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投球後ズーンとした違和感
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成長期では骨端線障害も起こる可能性がある
フォームや使いすぎが影響していることも多く、動作の確認が重要です
外側型野球肘
外側型野球肘は、野球肘の中でも特に注意が必要なタイプです。
状態が進行してしまうと、長期間の投球禁止が必要となり
発見時にすでに進行している場合には、手術が必要になるケースもあります。
そのため、野球選手としての将来に大きく関わる可能性があります。
痛みが出てから対応する」のではなく
早期発見と未然に防ぐことが非常に重要です

上記のエコー画像をご覧ください。
左側は症状の出ていない正常な状態で、骨の輪郭がきれいな丸みを描いています。
それに対して右側は骨の表面が崩れているように見え、関節面の不整が確認できます。
このような状態が認められた場合は
速やかに病院での精密検査が必要となります
ご注意が必要なのは
痛みがほとんどない場合や、肘の曲げ伸ばしに制限がない場合でも
内部では変化が進行していることがあるという点
見た目や動きに問題がないからといって安心できるとは限りません
だからこそ
違和感の段階や、症状がはっきり出ていない時期に状態を確認する
早期発見が非常に重要になります。
エコー検査は、肘の状態をリアルタイムで確認できるため、
このような変化を早い段階で見つけることが可能です。

後方型野球肘
肘の後ろ側に痛みが出るタイプです。
投球の最後、肘を強く伸ばす動作で負担がかかります。
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肘の後ろが痛い
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全力投球時に痛みが出る
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肘を伸ばし切ると違和感がある
フォームや使いすぎが影響していることも多く、動作の確認が重要です。
当院が取り組んでいる野球肘予防
当院では、「痛みが出てから」だけでなく「痛みを出さないためのケア」を大切にしています。
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エコーによる野球肘チェック

肘まわりの状態をエコーで確認し
骨・軟骨・靱帯・骨端線の状態を把握します。
成長期の選手でも安心して確認できます
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ストレッチ・セルフケア指導

肘だけでなく、肩・股関節・体幹など、
投球に関わる部位を含めたストレッチを指導します
自宅でも続けられる内容をお伝えしています。
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予防活動・啓蒙サポート
チームや保護者向けに、
野球肘予防を目的としたチェック活動や指導も行っています。
「今の状態を知る」ことが、ケガ予防の第一歩です。
早めの確認が将来を守ります
野球肘は、我慢すれば自然に治るものではありません。
違和感の段階で状態を確認し、適切にケアを行うことが、
長く野球を続けられる身体づくりにつながります。
当院では、無料で野球肘チェック(エコー観察)を実施しています。
「うちのチームはサポートしてくれるところがない」「選手の肘の状態が心配」などありましたら
お気軽にご相談ください